個人事業主にお仕事を発注した場合は、源泉徴収もれにご注意を!

あなたがサラリーマンなら、毎月の給与から引かれているアレですね。
言葉くらいは聴いたことがあると思います。

給与は源泉徴収するものと決まりきっているので、あまり意識はしなくてもよいですが、経理として問題になるのは個人事業主の方にお仕事を発注した場合の支払い。

個人事業主に対する支払いだからといって、全て源泉徴収すればいいのかといえばそうではないのが難しいところです。

しかも、いくら源泉徴収するかは消費税も関係してきます。

今回はこの源泉徴収と消費税についてご説明しましょう。

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源泉徴収とは

源泉徴収は所得税を給与や報酬等から控除することを言う。
個人の住民税の場合は特別徴収、社会保険料(健康保険、厚生年金保険料や雇用保険料等)の場合は
単に徴収といい、総括して天引きとも呼ばれる。

wikipedhiaより抜粋
https://ja.wikipedia.org/wiki/源泉徴収

冒頭のとおり、給与や報酬料金から引かれているものです。

サラリーマンであれば年末調整、個人事業主は確定申告で最後に税額を確定させます。
源泉徴収額が多ければ還付されますし、足りなければ差額を納税します。

源泉徴収が必要な支払い

源泉徴収が必要な支払いは原稿料や講演料、研修講師の謝礼、会計士・税理士報酬
などといった報酬料金をはじめ、限定列挙されています。

源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なっています。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

馬主である法人に支払う競馬の賞金

国税庁HPより抜粋
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2792.htm

おそらく問題になってくるのは、原稿料や講演料などというのが
どの程度の範囲になるのかということでしょう。
管理人の経験からしても、ここで判断に迷うことがあります。

国税庁HPにもあるのですが、講演料に交通費や宿泊費を含めて支払う場合にはこれらの金額も含めて源泉徴収をします。
具体的な計算方法は後ほど。

また、原稿料といっても雑誌などの記事だけでなく、例えばアンケート作成なども入ります。
その他、デザイナーさんへ支払うデザイン料や本の著者への印税も源泉徴収の対象です。

詳しくは国税庁から出されている一覧をご参照されると間違いないでしょう。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/aramashi2012/pdf/07.pdf

源泉徴収額の計算方法

源泉徴収額の計算方法は
報酬×税率です。

特殊な場合を除いて、税率は

100万円までが10.21%
100万円を超える部分が20.42%

という2段階になります。
具体的な計算を見てみましょう。

報酬料金 160万円だった場合。

100万円まで
1,000,000×10.21%=102,100円

超える部分
600,000×20.42%=122,520円

源泉徴収額
102,100+122,520=224,620円

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源泉徴収額と消費税との関係

さて、実務上必ず問題として出てくるのが消費税との関係です。
管理人もたびたび質問をされます。

源泉徴収の基準となる報酬料金は税込でしょうか、税抜きでしょうか。

答えはどちらともありうる、です。

…困ってしまいますよね?
大丈夫、実は結構単純です。

消費税込みか抜きか

この場合、源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った金額の全部、すなわち、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)込みの金額が対象となります。
ただし、弁護士や税理士などからの請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません。

国税庁HPより抜粋
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6929.htm

ここでは、

  • 原則は税込金額×税率(内税表記)
  • 請求書に消費税額を明記している場合に限って税抜金額×税率(外税表記)

と言っています。

早速具体的に金額をみていきましょう。

請求書に消費税が明記されている

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このように、消費税が明記されている場合は税抜金額部分にのみ
税率をかけて計算することができます。

ですから、個人事業主の方は請求書に消費税を明記すれば当面の手取り金額が少しだけ多くなるというメリットがあります。

ちなみに消費税の納税義務が無い場合(詳細は省略しますが年間の課税売上高が1,000万円以下)であっても消費税を請求することは可能です。

消費税の納税義務がない小規模な個人事業主であっても、仕入れをする時は消費税を負担しています。

ですから、請求するときも消費税相当額を請求できないのは不当ではないかという考え方です。

詳しくは経済産業省が出している下記PDFの32ページからをご参照下さい。
http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131008003/20131008003-2.pdf

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判断に困る消費税「税込」表記

消費税額が明記されていれば、税抜部分に税率をかけて計算できるから、源泉徴収税額がちょっと安くなるのはわかりました。

それでは、こんな場合はどうでしょう?

請求金額 108,000円(税込)

迷いますよね?

税込って書いてあって消費税額が明らかだから、税抜き部分に税率をかけてOKなのか。
明記されていると言えないから税込みで計算するのか。

調べてもどこにも載っていないので、思い切って国税庁に問い合わせをしてみました。

国税庁の回答は、この場合は税込みで計算する、とのことでした。

やはり、どうあっても国税庁の通達通り、消費税が区分されて明記されていないとダメみたいですね。

個人事業主の方は請求書には消費税額を区分して書いた方が源泉徴収される金額が減って、少しだけお得です!
逆に支払者の方は、たとえ(税込)のように書いてあっても、区分表記とはみなされないので注意です!

源泉徴収をした後は

源泉徴収をした後は、その金額をまとめて税務署に納税します。
納付期限は報酬の支払いをした翌月の10日までです。

例えば、2月中の支払いの場合は、3月10日までに納税しなければなりません。

まとめ

源泉徴収は主に個人への報酬に対して行います。
源泉徴収をする支払の種類は限定列挙されているので、国税庁のサイトを適宜ご参照ください。

税率は100万円までが10.21%、超える部分は20.42%です。

原則は税込金額に対して税率をかけます。
請求書に消費税が明記されている場合は税抜金額に対して税率をかけることができます。

消費税の納税義務がない個人事業主の方であっても、消費税相当額を請求することは問題ないので、消費税を明記した方が若干手取りが増えます。
ただし、あくまで源泉徴収は所得税の前払いのようなものですので、確定申告をすると精算されます。

 

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mail6_2
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