長期間の出張で、決算日をまたいでしまうことがよくありますよね。
その時は、どのような仕訳をしたらよいのか迷うことも多いと思います。

管理人のところにも、たまに質問があります。

決算日をまたぐ出張費は、法人税や消費税も絡んでくるので少し複雑かもしれません。

今回は、決算日をまたぐ出張費について、会計上の考え方や処理、法人税、消費税がからむ税務上の処理方法についてそれぞれご説明します。

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会計上の処理はどうなるか?

基本的に、出張した月に費用を計上します。

例えば3月決算で、3/31から4/1まで出張が入ったとしましょう。

この場合、3/31の旅費交通費が当期の費用になります。
4/1の分は翌期4月の費用となります。

もし、航空券や乗車券の代金を事前に支出をしていた場合、3/31分は旅費交通費、4/1分は前払費用として仕訳をします。

仕訳
旅費交通費 10,000 / 現金 20,000
前払費用  10,000

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法人税の考え方

法人税の考え方も、会計と同じです。

基本的に法人税では、物の引き渡しが完了したときや役務提供が完了したときに収益や費用となります。

ですからこの場合、飛行機や電車での輸送という役務提供が完了してから、費用が発生することになります。

3/31のものは当期3月の費用ですし、4/1のものは4月、翌期の費用になりますので間違えないようにしましょう!

法人税の根拠は、以下の国税庁HPが参考になります。

3月末時点では、4月の旅費についてはこの要件の(2)が該当しないことになります。

No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
[平成29年4月1日現在法令等]

各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額に算入される金額は、別段の定めのあるものを除き、1売上原価等の額、2販売費、一般管理費その他の費用の額、3損失の額とされています。
 このうち、「販売費、一般管理費その他の費用」については、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち、償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られています。
 この償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものをいいます。

(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
 修繕費を例にとると、建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にでき得る状況にあれば、上記の3つの要件を満たし未払金等として計上できることになります。
(法法22、法基通2-2-12)

消費税の考え方

消費税は、法人税とは違い、乗車券や航空券を発券した時に資産の譲渡をしたと認められます。

つまり、4月の分を3月に買ったとしても、3月に資産の譲渡があったということなので、3月分の消費税となります。

この条文は運送業者側の収益について言っていますが、その反対として買った方にも適用できると解釈できます。

(運送収入に係る資産の譲渡等の時期)
9‐1‐12 運送業における運送収入に係る資産の譲渡等の時期は、原則として、その運送に係る役務の提供を完了した日とする。

ただし、事業者が運送契約の種類、性質、内容等に応じ、例えば、次に掲げるような方法のうちその運送収入に係る資産の譲渡等の時期として合理的であると認められるものにより継続してその資産の譲渡等を行ったものとしている場合には、これを認める。

(1) 乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日(自動販売機によるものについては、その集金をした時)にその発売に係る運送収入を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする方法

まとめ

迷うことが多い、決算日をまたぐ出張。

会計、法人税、消費税の考え方をそれぞれ覚えておけば迷わなくなります。

会計と法人税は、役務提供が完了してから費用、損金になります。
消費税は、乗車券や航空券を発券した月に、仮払消費税が発生します。