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簿記でいう現金の範囲って?お財布に入っている現金とどう違うのか!?

簿記を勉強していると、現金の範囲、という概念が出てきます。

現金は、財布に入っている紙幣と硬貨に決まってるじゃないか!というもっともな意見がありますが、会計の世界ではちょっと違います。

範囲が広いんですね。

普段使っている「お金」は、現金の一部に過ぎません。

だいたいのイメージとしては、換金すればすぐ使えるなど、普段使っているお金とほとんど同じもの、という考え方でよいでしょう。

今回は、そんな現金の範囲についてご説明いたします。

現金の範囲って?

一般的に現金、と呼ばれるものは普通の現金、すなわち一万円札などの「紙幣」と100円玉などの「硬貨」です。

もちろんこれらは簿記でも「現金」として扱われ、貸借対照表の左側(=借方)、資産となります。

しかし、簿記において「現金」と呼ばれるものは他にもあります。

①(普通の)現金=紙幣、硬貨
②他人振出小切手
③郵便為替証書
④送金小切手
⑤株式配当金領収証
⑥期限の到来した公社債の利札

①は説明する必要はないでしょう。

覚えておくべきものは②と③です。

特に②の他人振出小切手は必ずと言っていいほど出るので、必ず覚えましょう。

ここでは②、③について詳しく解説します。

ここでは他人振出小切手と郵便為替証書について解説します。

小切手

当座預金という預金口座があります。

これは主に会社が持つもので、決済、つまり代金の支払いに使われます。

小切手というのは、その当座預金口座からお金を引き出す際に用いる紙切れです。

例えば、B社がA社に商品を販売したとします。

もちろんA社はその代金を払わなければなりません。

その際、A社は小切手を「振り出し」(小切手を作り、相手に渡すことを「小切手を振り出す」と言います)、B社に渡します。

そして小切手をもらったB社がそれを銀行に持っていくと、銀行は小切手を振り出したA社の当座預金口座から小切手に書かれた金額分をB社に渡す、というわけです。

つまり結局、A社が当座預金口座からB社に支払いをしたことになります。

では、実際の仕訳について見ていきましょう。

なお、ここでは三分法に統一します。

(例題1)B社がA社に商品を販売し、その代金10,000円分の小切手を受け取った場合
B社は小切手は受け取りましたが、その段階ではまだ現金に換えていません。
つまり、その時点では小切手はただの紙切れです。
しかし、その小切手は銀行に持っていくことで即座に現金に換えられます。
なので簿記の上では、現金(の増加)として処理します。
(借方) (貸方)
現金 10,000 売上 10,000

郵便為替証書

聞きなれないかもしれませんが、郵便為替証書というものがあります。

例えばA社がB社に1万円を送りたい場合、A社は郵便局に行き、1万円分の郵便為替証書を発行し、B社に送ります。

B社はその証書を郵便局に持っていくことで、その額面のお金(この場合は1万円)を受け取ることができる、という仕組みです。

郵便為替証書を受け取った側の仕訳は小切手を受け取った時の仕訳とほとんど変わらないーというより同じです
(理由は小切手の受け取りを現金として処理する理由と同じです)

(例題2)B社はA社に対する売掛金50,000を郵便為替証書で受け取った
(借方)    (貸方)
現金 50,000  売掛金 50,000

送金小切手、株式配当金領収証、期限の到来した公社債の利札

残りの3つについてですが、簿記3級に出てくることはめったにないので簡単に解説します

送金小切手

送金小切手は、郵便為替証書とほとんど同じで、発行・引き換えする場所が郵便局か銀行かの違いです。

ちなみに他人振出小切手(普通の小切手)と違い、送る側は代金を銀行で前払いするので、当座預金口座は必要ありません。

もちろん、もらった側は現金として処理します。

株式配当金領収証

「株」という言葉は聞いたことがあると思います。

「株式会社」と呼ばれる会社は、株を所有する株主が意思決定を行う権限を持っています。

そして会社によっては、株を所有している人に対し、会社の儲けの一部を「配当金」として分配することがあります。

その際、会社が配当金を配る手段として用いられるのが、「株式配当金領収証」です。

株式配当金領収証は、受け取ったら銀行に持っていくことで即座に現金に換えることができるので、受け取ったら現金として処理します。

その際、現金は資産の増加なので借方=左側に書きますが、相手勘定項目は「受取配当金」という収益となります。

期限の到来した公社債の利札

公社債というのは、国や地方公共団体、会社が発行する借金の手段です。

「国債」「社債」ってやつですね。

例えばA社が10,000,000(1千万)円必要になったとします。

その時A社は銀行に行って貸してもらうこともあれば、社債というものを発行し、世間から広くお金を借りる場合もあります。

貸した側(B社としましょう)はその証明として社債をもらうことができ、それには「利札」というものがついています。

これはお金を貸してくれたことに対する利息ですが、利札はその期限が来るまで現金に換えることはできません。

しかし逆に、期限が到来してしまえばいつでも現金に換えることができるので、「現金」として処理します。

まとめ

簿記の世界では一口に現金といっても、いろいろな種類があります。

管理人も、小切手なら聞いたことあるというレベルで、他のものは実生活はおろか、恥ずかしながら実務上も見たことはありません。

簿記の話だけで言えば、とりあえずこういうものがあるんだ、ということで理解しておいていただければ大丈夫です。