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部門長の評価はどこに着目するべきか。売上を上げればいい、は間違い?

管理会計の手法として、費用を変動費と固定費に分ける
というものを紹介しました。

今回は一歩進んで、これらの費用を
管理可能費と管理不能費に分けるという方法、
さらにこれを人事評価に使うための案を紹介します。

管理可能費と管理不能費

部門長の権限でコントロールできるのが管理可能費、
コントロールできないのが管理不能費です。
具体例を出せって話ですよね…。

管理可能費の例

変動費。

固定費のうち、管理不能費以外のもの。

管理不能費の例

固定費のうち、本社費用や会社共通費というような、管理部門の費用や事務所家賃などが配賦されたもの。
これらは、部門の努力ではどうしようもないので管理不能費となります。

管理する権限が与えられていない費用。
例えば、人件費は部長による査定で決定されるため、部長にとっては管理可能費ですが、課長にとっては
管理不能費となります。

微妙なのが減価償却費。
短期的には管理不能費となりますが、投資の意思決定という長期的な視点で見れば管理可能費と言えます。
管理人は管理不能費に入れてしまいますが、会社の方針によっては管理可能費という見方もできますので、
方針に従って臨機応変に分けていただければと思います。

管理職の評価はどのようにするか

管理会計上の損益計算書を定着させるためには、
人事的な面でもアプローチをしなければなりません。

そうしなければ、損益計算書の見え方が変わっただけで、
実質的に何も変わらないことになってしまうのです。

従来の損益計算書では、営業利益ないしは経常利益で
部門長の評価をしているということが少なくありません。

また、部長も、一般社員への評価を売上高や契約件数などで
していることがあります。

果たして、評価方法は本当にそれでいいのでしょうか?

もちろん、全ての費用を補って余りある利益を出すのが
部長の職務の一つであることは事実ですので、
結果、部門が赤字となってしまったら評価が下がるという
考え方を全面的に否定することはできません。

一般社員も、目標を達成しなければ話にならないので
少なくとも売上高目標を達成しているか、という見方もできるでしょう。

ではこれをどのように変えていきましょうか?

まずは損益計算書がどのような構造になっているかを見てみましょう!

 

部長の評価

事業部利益が黒字かどうかで判断をするべきです。

事業部利益とは、貢献利益から管理可能固定費と管理不能固定費(会社共通費等の配賦は除く)を
ひいた利益です。
部門の努力ではどうにもならない全社共通費を除いた利益であるため、
ここを黒字にすることが部門の第一の目標となります。

課長以下の評価

部下の査定など、課長以下には管理不能である固定費があります。
ですから、貢献利益から管理可能固定費をひいた、管理可能利益で評価をするのがよいでしょう。
もし、会社共通費が多額であったために部門が赤字に転落、
部長、課長が責任を取らされる、という事態に陥ったらどうでしょう?
彼らのモチベーションはダダ下がりですよね。

それぞれの職位で管理できる利益を評価の一つの基準とすることで、
正当な評価をすることができます。

まとめ

変動費と固定費に分解したら、固定費を管理可能固定費、管理不能固定費に分解する。

管理可能費は、変動費と管理不能固定費以外の固定費。

管理不能費は、本社費用や会社共通費(家賃など)。場合によっては減価償却費も。

部長、課長の評価は、それぞれの職位で管理可能な利益を基準にする。

参考文献

『会計天国』竹内謙礼、青木寿幸 PHP研究所

 

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