商品を販売した後、品違いなどの理由で商品を返品することがあります。
特に出版業など、返品がほぼ前提となっている業界の方は避けて通れない処理です。
何か特別な仕訳をしないといけないの?と思うかもしれませんが、なれてしまえばそんなに難しくありません。
今回は、そういった場合の両社から見た仕訳をご紹介します。
返品処理の仕訳
早速、返品があったときの仕訳方法を具体例でご説明します。
(事例1)A社は先日B社に商品を1個当たり1,000円で20個、掛けで販売したが、そのうち5個が返品された。
この商品の原価は800円だった。
分記法での返品仕訳方法
〈A社(販売側)から見た仕訳〉
まず、返品されたら商品が戻ってきます。
なので、800×5=4,000を商品(の増加=借方)とします。
そして、返品を受けた以上その分の代金は受け取れないので売掛金を減らすため、
売掛金1,000×5=5,000
を貸方に書きます。
最後に、販売したときに発生した利益(1個当たり1,000-800=200。5個なので200×5=1,000)を相殺するため、商品売買益1,000円を借方に書きます。
(借方) (貸方)
商品 4,000 / 売掛金 5,000
商品売買益 1,000/
別の解法もあります、
まず、最初に販売したときの(事例中の「先日」)返品された5個分の仕訳を考えます。
商品800×5=4,000が減ったので、貸方に売掛金という資産が1,000×5=5,000円増えたので、借方に
最後に5,000-4,000=1,000の利益が発生したので、商品売買益という利益を貸方に
(借方) (貸方)
売掛金 5,000 / 商品 4,000
/ 商品売買益 1,000
これが販売時の仕訳です。
返品になったということは、この取引がなかったことになるので、借方と貸方を逆にします。
(借方) (貸方)
商品 4,000 売掛金 5,000
商品売買益 1,000
こちらのほうが慣れれば楽だと思います。
〈B社(仕入側)から見た仕訳〉
返品された5個分の購入時の仕訳を考えます。
購入した際、買掛金という負債が1,000×5=5,000増え、商品という資産が同額の5,000円分増えたはずです。
よって、購入時の仕訳は
(借方) (貸方)
商品 5,000 / 買掛金 5,000
先ほども書いたとおり、返品したということはこの取引がなかったことになるので、この借方と貸方を入れ替え、
(借方) (貸方)
買掛金 5,000 / 商品 5,000
実際、買掛金という負債が減り、商品も減ったので一致しますよね。
三分法での返品仕訳方法
次は三分法です。
三分法と分記法は異なりますが、基本的に返品された分の取引を相殺するという考え方は変わりません。
〈A社(販売側)から見た仕訳〉
販売したときの仕訳を考えます。
販売したとき、売上という利益が1,000×5=5,000円分発生しました。
そして、売掛金という資産が5,000円増加しました。
よって
(借方) (貸方)
売掛金 5,000 / 売上 5,000
売上原価 4,000 / 商品 4,000
返品では借方と貸方が逆になるので、
(借方) (貸方)
売上 5,000 売掛金 5,000
商品 5,000 売上原価 5,000
〈B社(仕入側)から見た仕訳〉
例によって購入したときの仕訳を考えます。
5,000円分の仕入という費用が発生し、買掛金という負債が増加しました。
(借方) (貸方)
仕入 5,000 買掛金 5,000
よってこれを逆にする仕訳を行います。
(借方) (貸方)
買掛金 5,000 仕入 5,000
分記法、三分法。一部返品か、全部返品か、等の違いがあっても、購入時の仕訳を逆にする、という原則に変わりありません。
まとめ
返品の仕訳は、特別なようで最初の仕訳を反対にするだけなので、難しく考える必要は特にありません。
慣れてしまえば簡単なので、今回の記事を参考に覚えてしまってくださいね。