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経理がうるさい?その理由を現役経理課長が本音で釈明します

経理は数字にうるさい!
経理はいちいち細かい間違いを指摘してきてうざい!

経理の仕事をしていると、間違いなく他の部署から言われることです。
管理人も例外ではなく、もはやこの程度の悪口は耳にしすぎて何とも思わなくなってしまいました。

でも、経理だって好きでうるさくしているわけでも、意地悪をしたいわけでもないんです。
(ごく一部にそういう人もいるかもしれませんが・・・)

今回は、そういうご感想をお持ちの方向けに、経理課長として釈明したいと思います。
経理がうるさい理由をご理解いただければ嬉しいです。

会計基準に従った会計処理をしないと会計監査に通らない

まず、第一にこれ、会計監査です。

会社は四半期や半期ごとに決算を行いますが、これに合わせて必ず会計監査というものを受けます。
この会計監査に通らないと、会社の決算が正しくない、ということになってしまうのです。

上場企業であれば、監査に通らなければ上場廃止になってしまうこともあります。
非上場企業では、そんなことはありませんが、株主や銀行などからの信頼は失ってしまいます。

いずれにしてもメリットは無いですね。

ちなみに上場廃止基準はいくつかありますが、会計監査にからむのは以下の通りです。

虚偽記載又は不適正意見等
a.有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき
又は
b.監査報告書又は四半期レビュー報告書に「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

ということで、経理部門はちゃんと監査に通るように、不適正な会計処理が行われていないかどうかを日々チェックしているわけです。

経理以外の部署からすると、そんな細かいことまでいちいち気にしていられるか!という声が聞こえてきます。
ですが、残念ながら会計監査では「そんな細かいところ」まで見られてしまうんです。

会計監査の性質上、会計士は「性悪説」でもって会社の決算を見てきます。
つまり、会社の決算は間違っているという前提、不正が行われているという前提で見られてしまうのです。

そのため、前年比からの数値の異常な増減や棚卸資産の数字、売上高の計上時期などの不正をしやすい場所は、特に厳しく見られます。

あなたが経理以外の部署の方であれば、よく経理から聞かれていませんか?

確かに、管理人自身でも細かすぎるかと思うのですが、全て会計監査を通すためなのです。
多分、会計監査の細かさ、うっとうしさは受けたことがないと、イマイチ実感がわかないかもしれません。
決算の時期になると、経理からいろいろな書類の依頼があったり、数字の根拠などをしつこく聞かれることがあると思いますが、あれは全部会計士からの要請や質問に答えるためにやっているのです。

もちろん、会社の負担が大きい時もあります。
そんなときは、できるだけ簡単な方法でできないか、という落としどころを会計士と協議しています。

人知れず、会計監査と社内の他の部門と板挟みになってしまっている、ということをぜひ覚えておいてくださると、経理としてはとても嬉しいです。

内部統制監査という監査もある

会計監査だけでなく、内部統制監査というものもあります。

内部統制監査とは簡単に言うと、

ということを見るためのものです。

例えば、伝票の数字が合っているかどうか、上長がちゃんと確認しているか?複数体制でチェックできるようになっているか?システムを使っているのなら、数字はきちんと連動しているか?などの項目があります。

この辺りも、経理がうるさく言ってくるところですよね?

ちゃんと規定を守っているのか、とか間違いがないようにちゃんとチェックをしろ、とか部門長が承認したという証拠を残しておけ、とかですね。
よくある、伝票にちゃんと捺印をして下さい、というのもこの内部統制の一環です。

管理人も、こういうことはよく言います。
とても心苦しいし、言われる方も嫌だと思います。
というか、正直、管理人自身もそんな細かいこといいじゃん、と思っているフシがあります。

ですが、仕方ないのです。
会社としてそう言わないといけない立場ですから・・・。

税金計算が間違っていると追徴課税や罰則がある

税金の面でも、間違いがあると大変です。
税金は、会計士による会計監査ではなく、税務署や国税局が調査をします。

税務調査というやつですね。

ここで税金計算が間違っていると、追徴課税で税金をたくさん持っていかれます。

単純に間違っていただけでも、再計算した税金の差額はもちろん

という附帯税も付いてきてしまいます。

さらに、その誤りが意図的だったり悪質だと判断されると重加算税という非常に重い税金が課されてしまいます。
重加算税は多くの会社で懲戒対象となっているはずで、それほど重大な罰則と言えます。

とはいえ、そう簡単に重加算税が課せられるわけではなく、売り上げの過少計上や経費の水増し等の粉飾決算をしていなければほとんどの場合は大丈夫です。

過少申告加算税でも本税の10%かかりますし、延滞税は納期限の2か月以内であれば7.3%、それを超えると14.6%と、軽いとは言えない金額です。
経理としては、このようなことは絶対に防がねばなりません。

経理がよく言ってくるのは、交際費や固定資産についてではないでしょうか?

この飲み会は社内の人となの?社外の接待なの?とか、金額は一人5,000円以内か?とか、この出張は単なるゴルフじゃないの?などなど、これまた細かいところまで突っ込んできますよね。

固定資産だと、金額が20万円超えているけど、これって固定資産じゃないの?、15万円だと消耗品じゃなくて一括償却資産にしなきゃだめ!、付随費用が取得価額に入っていない、償却開始日は来月じゃなくて今月からにしないとだめ、などこれまた細かいと思います。

これらは、税務調査でよく狙われるところなので、経理も目を光らせています。
管理人も特に固定資産のところでは、よく国税局にやられました。

税務の知識はとても難しいので、そこは経理が知っておくべきことなのですが、他の部署でも、税金でこういう決まりがあるんだ、というところに耳を傾けて下されば幸いです。

まとめ

経理課長として、ある程度責任のある立場からの釈明でした。
経理はただ意地悪をしたくてうるさくしているわけではない、ということは少しはわかっていただけたでしょうか?

いや、実際に本当にうるさいと思います。
管理人も自覚しています。

ですが、背景には会社を存続させないといけない、無駄な税金を払わないようにしなければいけない、という想いがあるのです。

もし、本記事を読まれたあなたが経理以外の部署の方でしたら、ぜひご理解の上、経理部門にちょっとだけでも協力してあげて下さい!