固定資産の取得価額を決定するのは重要です。
取得価額に含めるべきものを経費にしていたら、税務署から修正を求められ、なおかつ税金をガッポリ追徴されます。
管理人も何度嫌な思いをしたことか…!!
本体価格だけが固定資産の金額となれば楽なのですが、実際はそういうわけにもいきません。
さて、今回は固定資産の取得価額に含める費用、含めなくてよい費用のそれぞれの範囲ついて説明していきます。
取得価額に含める付随費用の範囲
本体価格だけが固定資産の取得価額ではありません。
固定資産を買うと、運送費用や据付費用、手数料や税金などのさまざまな付随費用がかかります。
この中でも、取得価額に含める費用、含めなくてよい費用が存在するのが悩ましいところです。
固定資産の取得価額に含める費用というのは、大まかに言って、
購入した資産を事業用に使えるようにするための費用、
です。
事業の用に供するために直接要した費用と言ったりします。
ちなみに法人税法施行令の第54条一ではこのように規定されています。
当該資産の購入の代価
引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等その資産の購入のために要した費用当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
事業の用に供するための費用は例えば、据付費、調整試運転費等です。
工場の機械をイメージすればよいでしょう。
例えば、工場に新型の機械を導入するとします。
この場合、本体をただ買ってきて、適当に置くだけということはまずないでしょう。
必ず、据付工事が必要になります。
検索したところ、工事会社さんの動画がヒットしました。
据付工事をしている場面ですね。
この後に、正常に作動するかの試運転をします。
このような費用は機械を事業に使うために必要な費用なので、固定資産の取得価額に含まれるわけです。
取得価額に含めなくてもよい費用の範囲
逆に取得価額に含めなくてもよい費用もあります。
その範囲はどのようなものでしょうか?
限定列挙になってしまうので、国税庁ホームページを引用します。
7-3-3の2 次に掲げるような費用の額は、
たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、
これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。
(昭50年直法2-21「19」により追加、昭55年直法2-8「二十一」、平23年課法2-17「十四」により改正)(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等で
その建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額(3) 一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して
他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
業種にもよりますが、管理人の経験から、この中でよく出てくるものは以下の通りです。
(1)の租税公課等、特に、イの不動産取得税、自動車取得税とニの登録免許税その他登記又は登録のために要する費用だと思われます。
例えば、土地を買って、不動産取得税を払い、登記を司法書士さんに依頼して、登録免許税、登記の諸費用を払った、という取引です。
(2)の撤去費用は本来ならば建設予定の建物の取得価額に含めるべきなのですが、不要となった、つまり、その建物に関係ない費用となってしまったので、取得価額に含めなくてもいい、ということです。
(3)の違約金は文字通り、古い契約の解除に対する違約金の額は新しい契約で取得する固定資産には含めないということです。
以上が固定資産の取得価額の基礎的な内容です。
固定資産の取得価額は、ここではとても書き尽くせない程、税務上、かなーり細かく規定されています。
迷ったら下記のホームページを参考にするとよいでしょう。
参考ページ
国税庁
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_03_01.htm
法庫
http://www.houko.com/00/02/S40/097.HTM
請求書だけじゃなくて、見積書も見よう
さて、実務的にはどのようにやったらよいでしょうか。
固定資産購入に限らず、支払いをするときは請求書をもとに仕訳を起票することが多いと思います。
ここで注意した方がいいのが、請求書に詳細が書いていない場合がある、ということ。
どういうことかと言いますと、請求書には明細が無く、全て一式のような形で書かれてしまっていることがあるということです。
そうなると、本来固定資産にしなくてもよいものまで固定資産にしてしまう可能性があるのです。
例えば、請求書には、「パーテーション設置工事一式 500,000円」と書いてあったとしましょう。
でも、実際の工事の中に、「既存の設備の撤去費用 100,000円」が含まれていた場合、既存設備の撤去費用は取得価額に含めなくてもよいのです。
ですから、この場合、400,000円が固定資産、撤去費用100,000円は費用として一括で経費計上できるので、工事の内容を精査して勘定科目を分けるとよいでしょう。
固定資産を計上するときに、資産になるか費用になるか迷うことはよくあることです。ちなみにその判断は、別記事でご説明しています。今回は、固定資産を分割して計上するのはできるのか、分割できるとしたらどういう方法があるのか?ということ、そして節税メリット... 固定資産の分割計上!節税メリットややり方を説明します - 経理の仕事.com |
固定資産の取得価額と消費税
金額で気になるのが消費税。
固定資産の取得価額や付随費用は、消費税を含めて考えるのでしょうか?
答えは、消費税の処理のしかたによります。
会社として税込経理をしていれば消費税込みで、税抜経理経理をしていれば税抜きで判断します。
例えば、消費税込みで210,000円だったとします。
税込経理であれば、これは固定資産。
税抜経理であれば、固定資産にならないで一括償却資産になります。
付随費用も考え方は同じです。
まとめ
固定資産の取得価額は本体価格だけでなく、
事業に使うために支出する付随費用も含まれる。
取得価額に含めるもの、含めなくてよいものは
税務上、細かく規定されている。
取得価額が決まったら、気になるのは減価償却。
減価償却の方法を丁寧に解説しているのはこの記事。
↓↓↓
減価償却の方法を丁寧に解説
減価償却のタイミングはこの記事が参考になります。
是非ご覧下さい。
↓↓↓
減価償却を開始するタイミング
本日も記事をお読み下さいましてありがとうございます。
どんなことでも結構です。
あなたのご意見、ご感想、リクエスト等お聞かせ下さい!