固定資産とは、会社が持っている資産のうち、耐用年数が1年を超えるもので、購入金額が20万円以上のものです。
と言っても、何のこっちゃ?となってしまいますよね?
今回は固定資産実務に初めて携わる方向けに、固定資産とは何かということをわかりやすく、できるだけ簡単に説明します。
固定資産の基礎を覚えてもらえれば嬉しいです。
固定資産とはそもそも何?
固定資産というのは、会計、税務とも定義がしっかり決まっているので、まずはそちらを紹介してしまいます。
といっても、たぶん読み込んでもよくわからないと思いますので、「こんなものがあるのね」くらいに読み飛ばしていただいて大丈夫です。
管理人は、読んである程度理解することはできますが、さすがにここにあることは覚えてもいません。
会計上(会社計算規則)の固定資産の定義
(資産の部の区分)
第七十四条 資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目(第二号に掲げる項目を除く。)は、適当な項目に細分しなければならない。
一 流動資産
二 固定資産
三 繰延資産
2 固定資産に係る項目は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目は、適当な項目に細分しなければならない。
一 有形固定資産
二 無形固定資産
三 投資その他の資産(中略)
二 次に掲げる資産(ただし、イからチまでに掲げる資産については、事業の用に供するものに限る。) 有形固定資産
イ 建物及び暖房、照明、通風等の付属設備
ロ 構築物(ドック、橋、岸壁、さん橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物をいう。)
ハ 機械及び装置並びにホイスト、コンベヤー、起重機等の搬送設備その他の付属設備
ニ 船舶及び水上運搬具
ホ 鉄道車両、自動車その他の陸上運搬具
ヘ 工具、器具及び備品(耐用年数が一年以上のものに限る。)
ト 土地
チ リース資産(当該会社がファイナンス・リース取引におけるリース物件の借主である資産であって、当該リース物件がイからトまで及びヌに掲げるものである場合に限る。)
リ 建設仮勘定(イからトまでに掲げる資産で事業の用に供するものを建設した場合における支出及び当該建設の目的のために充当した材料をいう。)
ヌ その他の有形資産であって、有形固定資産に属する資産とすべきもの
三 次に掲げる資産 無形固定資産
イ 特許権
ロ 借地権(地上権を含む。)
ハ 商標権
ニ 実用新案権
ホ 意匠権
ヘ 鉱業権
ト 漁業権(入漁権を含む。)
チ ソフトウエア
リ のれん
ヌ リース資産(当該会社がファイナンス・リース取引におけるリース物件の借主である資産であって、当該リース物件がイからチまで及びルに掲げるものである場合に限る。)
ル その他の無形資産であって、無形固定資産に属する資産とすべきもの
四 次に掲げる資産 投資その他の資産
イ 関係会社の株式(売買目的有価証券に該当する株式を除く。以下同じ。)その他流動資産に属しない有価証券
ロ 出資金
ハ 長期貸付金
ニ 前払年金費用(連結貸借対照表にあっては、退職給付に係る資産)
ホ 繰延税金資産
ヘ 所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債権のうち第一号ニに掲げるもの以外のもの
ト 所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース投資資産のうち第一号ホに掲げるもの以外のもの
チ その他の資産であって、投資その他の資産に属する資産とすべきもの
リ その他の資産であって、流動資産、有形固定資産、無形固定資産又は繰延資産に属しないもの引用元: 会社計算規則
法人税法上の固定資産の定義
二十二 固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
二十三 減価償却資産 建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。引用元: 法人税法
とりあえず難しい言葉が並んでいますが、有形固定資産は
- 建物
- 建物附属設備
- 構築物
- 機械装置
- 工具器具備品
- 車両運搬具
- 土地
無形固定資産は
- ソフトウェア
を覚えておけば、初心者のうちは大丈夫です。
固定資産の耐用年数って?
固定資産には耐用年数というものがあります。
この記事の一番最初で、耐用年数が1年を超えるもの、とご説明しました。
この耐用年数というのは、その固定資産を使うことができる年数という意味です。
耐用年数が問題になってくるのが主に税務上で、国税庁が耐用年数を耐用年数表というもので細かく規定しています。
例えば、
- 鉄筋コンクリートの事務所(建物) 50年
- 一般の軽自動車(車両運搬具) 4年
- 金属製のキャビネット(工具器具備品) 15年
といった具合です。
税法ではこのように決められていますが、会計上では厳密に決められていません。
一般的には、会計上の耐用年数も税法に合わせてしまうという方法がよくとられていますが、メーカーなど、大きな設備を持っている会社は実際の機械の稼働率などをもとに耐用年数を見積もることもあります。
固定資産は減価償却をする
固定資産の特徴として、減価償却というものがあります。
減価償却とは、固定資産の耐用年数に応じて、費用を案分していくという会計上の処理のことをいいます。
例えば、1,000万円で、耐用年数10年の機械を買ったとします。
もし、減価償却というものがなかった場合は、この1,000万円は買った時点で費用になってしまいます。
ということは、買った年度は大赤字になってしまいますよね?
でも、この機械はこの後、長期間使い続けるので次の年度以降は費用が全くかからず、ものすごく利益が出る可能性があります。
固定資産は長く使ってその恩恵にあずかるのだから、買った時だけ費用にして大赤字、それ以降は黒字になるというのは実態に合っていない、ということで使っている期間で費用を案分すべきだ、というのが減価償却の考え方です。
減価償却の方法は、定額法、定率法が一般的です。
定額法は、毎年同じ金額だけ減価償却をしていきます。
1,000万円で耐用年数が10年であれば、毎年100万円ずつ減価償却していくことになります。
定率法は、毎年同じ率(償却率といいます)をかけて減価償却をします。
どういうことかといいますと、例えば、1,000万円で償却率が0.250だったとします。
1年目は1,000万円×0.250で、250万円の減価償却をします。
2年目はというと、1年目で250万円減価償却したので、固定資産は750万円になっています。
この750万円に0.250をかけるのです。
750万円×0.250で約187万円の減価償却です。
ということを繰り返していくのが定率法です。
定額法は毎年一定、定率法は最初は減価償却が大きくなりますが、だんだん少なくなっていきます。
減価償却の方法は別記事で詳しく解説しています。
固定資産の金額基準
固定資産は金額基準というものがあります。
一般的に、取得価額が20万円以上のものが固定資産として計上されます。
これがもし、10万円以上20万円未満であれば一括償却資産、10万円未満であれば少額減価償却資産という扱いになります。
固定資産の取得価額は、固定資産本体の金額にいろいろな付随費用を加えたものの合計になります。
固定資産の取得価額の判断については、こちらの記事が参考になりますので合わせてお読みください。
備品や消耗品との違いはこちらの記事をお読みください。
一括償却資産って
取得価額が、10万円以上20万円未満であれば一括償却資産として取り扱います。
この一括償却資産とは、会計上は買った年度でそのまま費用に、税法上は3年で減価償却する資産です。
なぜ一括償却と呼ぶかといいますと、固定資産のように個別に耐用年数や金額を管理する必要がなく、一括で管理してしまってよいためです。
一括償却資産A⇒15万円、一括償却資産B⇒12万円・・・ではなく、一括償却資産全部で100万円、のようなイメージです。
例えば、15万円の機械を買った場合は、一括償却資産として扱います。
会計上は15万円をまるまる費用にしていまいますが、法人税の計算では毎年5万円ずつ費用にしていきます。(法人税では損金といいます)
そうなると、会計上の費用と法人税法上の費用がずれてしまうので、申告調整というものが必要になります。
申告調整について詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
少額減価償却資産って
少額減価償却資産というのは、取得価額が10万円未満のものです。
10万円未満であれば処理は簡単で、会計上も税法上もその場で費用にしてしまってOKです。
備品台帳のようなもので管理することが多いですが、経理処理の方法は、消耗品のような扱いと思って差し支えありません。
まとめ
固定資産の基礎的なことについて説明いたしました。
固定資産は奥が深く、当サイトでも取得価額の計算方法や備品や消耗品との関係の記事は人気があります。
是非、当サイトの固定資産関係の記事をお読みになって理解を深めていってください。