ソフトウェアには、パソコンにインストールして使うもののほか、サーバー上で動くものがあります。
比較的大きな業務システムや会計システムなどがこれにあたるでしょう。

ここでよく問題になってくるのが、サーバーが老朽化してきたり、OSのアップデートが必要になって、サーバー移管手続きが必要になってくるケースです。

サーバー移管手続きは、外部のシステム会社等に依頼するのがほとんどでしょう。
管理人の経験上もそうです。

もちろん無料ではないので、それなりにお金がかかります。

新しいサーバー上で、もとのシステムを動かすためにいろいろ設定変更なども必要になってきます。

こうした場合、サーバー移管費用は、果たして固定資産計上をするべきなのか、それとも費用で落としてしまっていいのか悩ましいところです。
今回は、管理人の経験を交えて、ソフトウェアのサーバー移管手続きの会計処理についてご説明いたします。

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サーバー移管費用の考え方

サーバー移管費用が固定資産計上となるのか、費用計上となるのかは、まずは機能追加があるのかどうかが考え方のポイントになります。

サーバーを移管する際に、ソフトウェアに何らかのアップデートをして機能追加がされた場合は、固定資産計上となります。
これは、資本的支出の考え方と同様です。

逆に、機能追加が特にないということであれば、ソフトウェアの資産価値があがるわけではないので、単なる作業費用として費用計上してしまって差し支えありません。

サーバー移管作業で発生する代金の種類

では、具体的にサーバー移管作業ではどのようなお金がかかるのでしょうか。

管理人が見たことのある項目をご紹介いたします。

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OSバージョンアップ

これは、OSが古くなってしまい、サポートが終了してしまうなどの理由で発生します。
バージョンアップは基本的に、新しい機能が追加されるなどしているので、一般的には固定資産計上となります。

Q13:完成している市場販売目的のソフトウェアについて、バージョンアップが行われた場合のバージョンアップ費用及び販売中のソフトウェアの残存価額の会計処理はどのようになりますか。

A:市場販売目的のソフトウェアのバージョンアップは、ソフトウェアの価値を高めるための活動であり、バージョンアップによって見込販売数量(収益)の増加、残存有効期間の延長などの効果がもたらされることが考えられます。

したがって、このような効果をもたらさない機能維持活動とは明確に区分されます。
バージョンアップは大きく次の2種類に分けられます。

① 製品の大部分を作り直す大幅なバージョンアップ

② 既存の製品に機能を追加する、又は操作性を向上させるなど、それほど大幅ではないバージョンアップ

①のバージョンアップは、製品の設計を初めからやり直すなど、著しい改良に該当するバージョンアップと考えられます。
したがって、新しい製品を制作する場合と同様に、新しいバージョンで最初に製品化された製品マスターの完成時点までの費用を研究開発費として処理することになります。
また、新しいバージョンの製品の販売に伴って古いバージョンの販売を中止する場合には、旧バージョンのソフトウェアについては資産の価値が失われているため、残存価額を除却することが必要です。

これに対して②のバージョンアップは、基本的な設計を大きく変更することなく、ソフトウェアの価値を高めるものと考えられます。
したがって、バージョンアップに要した費用は資本的支出として資産計上され、完成しているソフトウェアの未償却残高と合算されることになります。
なお、このソフトウェアの償却費の計算に当たって、バージョンアップに伴う見込販売数量(収益)又は残存有効期間の見直しが行われる場合には、見直し後の見込販売数量等を利用することが適切であると考えられます。
なお、販売済みのソフトウェアについて継続的にバージョンアップを行い、定期的に最新のソフトウェアに更新するような契約があります。かかるバージョンアップで②に該当する費用は資産として計上され、見直し後の見込販売数量(収益)と残存有効期間を基に償却されることになります。

新サーバーやOSに対応するためのプログラム修正

移管先のサーバーや新OSに対応するために、既存のシステムのプログラムを修正する必要がある場合があります。
これらの費用は基本的に費用計上が可能です。

単に、システムに移管先で同じ機能を発揮させるだけなので、特に付加価値があるわけではなく、機能を向上させているとみなせないからです。
また、新たな機能を作ったとしても、それが既存のサーバー上と同様の動きを再現するための機能追加であればやはり費用計上となります。
例えば、既存サーバーでは、自動でデータベースにデータを取りに行っていたが、新規サーバーではそれができないので、CSVファイル取り込み機能を追加した、というような場合です。
結局同じことをやっているだけなので、純粋な機能追加ではなく、どちらかといえば現状維持とみなせるのです。

これについては、実務指針の中でデータコンバートの項目がありますので、これに準じて考えることになります。

16.ソフトウェアを利用するために必要なその他の導入費用については、次のとおり処理する。

(1) データをコンバートするための費用
新しいシステムでデータを利用するために旧システムのデータをコンバートするための費用については、発生した事業年度の費用とする。

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まとめ

ソフトウェアのサーバー移管やバージョンアップの考え方は、意外と単純です。

サーバー移管は、機能追加さえなければ基本的に費用計上が可能。
バージョンアップは、基本的に機能追加が前提になっているのが通常なので、固定資産計上となります。