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役員報酬の損金不算入はどのようにするか 複数回改定の解説あり

役員報酬の定期同額給与の記事事前確定届出給与の記事
それぞれどのようなものかという概要は説明しました。
役員報酬というのは、上のリンクから以前の記事をご覧いただければ
わかると思われますが、法人税法上、かなり厳しく規定されています。

役員は給与水準が高いことが多いため、役員報酬を自由に
決められてしまうと、利益操作が簡単にできてしまいます。

そこで、厳しく規定し、規定から外れた金額は
損金不算入となってしまいます。

今回は、定期同額給与、事前確定届出給与がどのように
損金不算入になってしまうのかを説明します。

定期同額給与の損金不算入

定期同額給与は、
事業年度開始の日から3ヶ月以内の改定
臨時改定事由(地位や職務内容の変更、傷病等)、
業績悪化事由(役員報酬を下げないと、会社がつぶれたり、
利害関係者に被害が及ぶ)
による改定以外は認められませんでした。

では、定期同額給与と認められなかったものについては
どのように損金不算入となるのでしょうか?

結論から言うと、改定前後の低い方の金額に合わせられます。

わかりづらいので、図で表してみます。
最初は、損金算入が認められるパターン。

6月の株主総会で増額決議されて、その後、
定期的に同額を支給しているパターンです。

これは、3ヶ月以内の改定にあてはまるので、
全額損金算入することが可能です。
次に損金不算入のパターン。


株主総会で、金額据置としているのに、
途中から増額したパターンです。

もし、途中からの増額が臨時改定事由に当てはまる場合、
例えば、途中で社長が交代となり、報酬が増えたという場合ならば
これは損金算入できます。

しかし、この例では臨時改定事由にも該当しないので、
増額した分は損金不算入となります。

続いて、複数回の改定があったパターンです。

複数回ある場合は、次の3つの期間で判断をします。

1.期首から通常改定まで
2.通常改定から臨時改定まで
3.臨時改定から期末まで

この例の場合は、1.期首から通常改定までは
3ヶ月以内の改定の要件を満たしています
続いて2.通常改定から臨時改定はどうでしょうか?

臨時改定事由に該当していない、という例です。

ということは、1回目の改定はOK。
2回目の改定はNG。

つまり、4月から6月までの50については
要件を満たした改定であるため、定期同額と認められます。

7月は減額して40にしています。

この後、8月の減額が臨時改定事由にあてはまれば、
7月の40も問題なく損金算入でした。

しかし、この例では8月に臨時改定事由に該当しないで
減額しています。

損金不算入になった場合は、最初に、
低い方に合わせると説明したとおり
8月以降の30が定期同額になります。

したがって、7月の限度も30に合わせられてしまうため、
10は損金不算入になってしまいます。

事前確定届出給与の損金不算入

事前確定届出給与は、定期同額よりもわかりやすいと思われます。

損金不算入となるかどうかは、
その名のとおり、事前に確定して届け出ている金額と同じかどうか
で判断します。
つまり、同額であれば損金算入できて、
1円でも違えば、全額が損金不算入となってしまいます。

例えば、100万円と届出をしていたのに、
99万円しか支給しなかった場合は、1万円ではなく、
全額の99万円が損金不算入となります。
しかし、臨時改定事由や業績悪化事由に該当する時は、
その事由が生じた日から1ヶ月以内であれば、「事前確定届出給与に関する変更届出」を
税務署に提出すれば、金額を変更することができます。

なお、役員報酬のQ&Aが国税庁から出ています。
ちょっと難しいですが、今までの説明と照らし合わせて読んでいただければ
なんとなくでもご理解いただけるのかなと思います。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf

まとめ

定期同額給与が損金不算入になる場合、基準は低いほうの金額に合わせられてしまう。

役員報酬の改定が複数回あった場合は、3段階で要件を満たしているか判定する。
1.期首から通常改定まで
2.通常改定から臨時改定まで
3.臨時改定から期末まで

事前確定届出給与は、臨時改定事由、業績悪化事由がない限りは、
届出額と1円でも違うと全額が損金不算入となる。

 

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