減価償却について調べたり、勉強したりしていると、
資金の回収だとか、自己金融効果という
言葉に出くわしませんか?
管理人は、財務諸表論を勉強しているときに
この言葉に出くわしました。

説明を聞くと、「あぁ、なるほどな」となるのですが、
あとで考えるとやっぱり納得できない。

調べてみてもいまいち曖昧な説明しかない…。

ということで、管理人なりの解釈で
説明することにしました。

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この言葉に実務的な意味はない!

いきなり過激な発言ですが、
正直、管理人は資金の回収とか、自己金融効果という
言葉は実務には何ら役に立たず
もはや哲学の領域ですらあると思っています。
(別に哲学が嫌いなわけではありません!実はむしろ好きです。)
この業界?に限らず、専門家になると
難しいことを難しい言葉で説明する、という行為を
無意識に行っていると思うのです。

難しいことを簡単な言葉に「翻訳」できることが
本当の専門家なのでしょうね。
話を戻しますと、
減価償却で資金を回収するとか、自己金融効果というのは
実務では覚える必要はありません

しいて言えば、キャッシュフロー計算をするときは
減価償却費は加算するということを覚えればよいでしょう。
詳しくは後ほど説明しますね。

なぜ、資金を回収すると言えるのか?

もちろん、これらの言葉は何も無いところから
出てきたわけではありません。

一応、根拠はあるのです。
ただ、ものすごく誤解を招く言葉であることは事実です。

たいていの専門家はこのような内容を説明します。

普通、費用は現金の流出を伴う。
減価償却費は費用でありながら、資金が流出しない。

よって、その分会社に資金が留保されることになる。
つまり減価償却の分だけ会社に資金が増えるのだ。

これが減価償却を通じて資金を回収しているということだ!
or
これを自己金融効果というのだ!

うーむ、わかったようなわからないような…
という気になりませんか?

では具体的な金額を挙げてみましょう。

例えば、
売上1,000
売上原価 500
販管費 500
当期純利益 0

というPLがあったとします。

ぱっと見た感じでは、
会社に資金は残っていないように見えますね?

しかし、販管費の中に減価償却費が100あったとしたらどうでしょうか?

減価償却費はお金の流出が無い費用なので
会社には100の資金が残ることになります。
営業キャッシュフローが100増えるのです。

つまり、減価償却を通じて、資金を回収したのです!

…これでも、そりゃそうだけど、
何かうまく騙されてる気がする、となりますよね?
少なくとも管理人はそう思います。

そして、大体の説明はここまでで終わっています。
これが混乱を残す原因なのではないでしょうか?

実際のところ資金はどうなっているのか?

確かに、学術的な説明では上記のところで終わっても
さほど違和感はないでしょう。

しかし、実務に携わる人にとっては、
非常に厄介な問題です。

これを文字通り真に受けて、
「減価償却費を計上しているのに、会社の資金が減っているじゃないか!」
と言い出す人が出ないとも限りません。
もう少し掘り下げて、実務に即した説明をしてみます。

まずは断言します。
減価償却費を計上しても、投資したお金が返ってくるわけでも、
ましてや、お金が増えるわけでもありません

先ほど少し説明したように、
キャッシュフロー計算をした時には、
確かにキャッシュの増加要因として計算します。

しかしこれは、減価償却費を計上したが、
お金が出て行かなかった、という意味に過ぎません。
固定資産を買ったお金は
出て行ったままという事実だけがそこにあります。
いくら減価償却をしようと返ってきません。

投資した資金を回収したければ、
事業活動で売上を上げるしかないのです。

減価償却の節税効果は?

減価償却費を計上することで、費用が増えるので
その分所得が減って税金も減るのではないか、
という言い分もあると思います。

確かに単年度だけで見れば、
一定の節税効果はあるでしょう。

ですが、長い目で見ると節税効果はありません

なぜなら、固定資産を買ったときに
その分税金は取られているからです。

要は固定資産の金額分に対しては、税金を前払いしているのです。

それを減価償却費を毎年計上することで、少しずつ取り戻しているだけで、
トータルの税金は変わらないのです。

例えば、100万円の固定資産を買ったとします。
減価償却は10年間の定額法とします。
話を簡単にするために、買った年は減価償却しないとしましょう。

その場合、この100万円は費用にはならないため、
100万円×30%=30万円の税金を払うことになります。

翌年度以降は、減価償却費を10万円ずつ計上するので、
減価償却費10万円×30%=3万円の
税金が減ることになります。

1年間3万円×10年=30万円となるので、
固定資産を買った年度に払った税金を
取り戻しただけですね。

固定資産を一括で費用にすることができれば
こんなわかりづらいことにはならないのですが、
税務当局が前倒しで税金を払わせたがるので仕方がないのです。

まとめ

減価償却費を通じた資金の回収や自己金融効果という
言葉は、実務では意味をなさない。

減価償却費をいくら計上しても、資金は回収できない。

節税効果もなく、ただ税金を前払いしたものを
取り返しているだけ。

どこよりもわかりやすい説明を心がけています。
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mail6_2
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