あなたは「梅原大吾」という方をご存知でしょうか?
「ウメハラ」と書いた方が伝わりやすいかも?
ゲームが好きな方はピンと来たかもしれません。
そう、日本初のプロゲーマーです。
私は先日、前々から気になっていたこの方の著書を読みました。
『勝ち続ける意志力』という本です。
恥ずかしながら、管理人はこの著書を読むまでは、
「ゲーマー?まぁ、狭い世界の一部の人の間で有名なのね」
「ゲームやってホントに生活できるの?」
などと、ネガティブな印象を持っていました。
実際、梅原氏はこのようなネガティブな印象をもたれる事があるようで、
著書の中で「堪忍ならない」とおっしゃっています。(ごめんなさい…)
しかし、読んだ後は、この印象が180度変わったのです!!
「うわっ!この人なんちゅうストイックさだ!本物の修行僧かよ!?」
「この人の努力に比べたら、俺が努力ってなんだったの?
というか「俺、努力したんだ」なんて口が裂けても言えないぞ、こりゃ…」
「この人スゴイ、スゴ過ぎる!!」」
ということで、管理人の座右の書となりました。
さて、梅原氏はどのくらいゲームが上手いのでしょうか?
彼の試合の様子がyoutubeにアップされています。
「背水の逆転劇」という彼を語る上で欠かせない試合です。
梅原氏が操作するキャラがケン(男性キャラ)、
対するジャスティン氏が操作するのが春麗(女性キャラ)です。
梅原氏の体力ゲージはほぼ0になってしまい、必殺技を防御しても負けてしまいます。
(必殺技を防御しても、体力はほんの少し減る)
それを見越してか、ジャスティン氏が手数の多い必殺技で突撃!
並みのプレイヤーなら、この時点で負けが確定です。
が、梅原氏は違いました。
「ブロッキング」という特殊な操作があるのですが、
これを成功させると、必殺技であってもダメージを受けません。
ブロッキングは、攻撃を受ける瞬間にレバーを前か下に入れるのですが、
タイミングが超シビアで、攻撃がヒットする約0.16秒前、
最後の空中ブロッキングにいたっては約0.11秒前でなければ相手の攻撃を食らってしまいます。
この針の穴をも通すようなタイミングの操作を15回程連続で成功させています。
しかも、極限状態で。
この凄さは、観客のスタンディングオベーションが全てを物語っています。
読んで欲しい人
少しでも昨日の自分より成長しようと努力している全ての人。
逆にほどほどの頑張りでいいや、という人は読む必要はないです。
なぜ「努力の人」になったのか?
まず、断っておくと、本書はいわゆる「ハウツー本」ではありません。
どちらかと言えば、考え方を述べている本です。
「精神論」じゃないか、という人もいるかもしれません。
しかし、「世界チャンピオン」の考え方、勝負の捉え方を知る意味では
とても有益な本です。
先に書いたように、梅原氏の努力は半端ではありません。
なぜ彼はストイックに努力できるのでしょうか?
事の発端は、「彼の姉の記憶力」にあります。
小学生時代の夏休み、「日本国憲法の前文の暗記」という宿題が出されました。
梅原少年はこれを必死で暗記します。
そんな時、家族みんなで暗記してみよう、というなりました。
梅原氏は記憶力には自信があったそうです。
が、しかし、彼の姉は前文を3回ほど読んだだけであっさりと暗記してしまったのです。
これにはさすがの彼も舌を巻く他ありません。
そこで悟ります。
突出した才能の前では、ちょっとやそっとの努力など簡単に吹き消されてしまう。
とことん追求し、死ぬ気で戦い抜くというやり方を身につけた。
才能すらもなぎ倒していく圧倒的なまでの努力。
彼の人生を変える大事件でした。
これ以降、鉄棒ぶら下がり競争では、絶対に最後まで手を離さず、
潜水競争では、最後まで顔を上げませんでした。
この執念に比べたら、管理人がしてきたことなど、到底「努力」などとは呼べません。
管理人は税理士試験の税法に落ちまくっていますが、完全に努力不足ということが身にしみました。
とりあえず、ある程度とっとけばいいでしょ、できる問題やればいいでしょ、くらいな感じだったので、
完全に100%理解する、という執念は正直持っていませんでした。
これをお読みのあなたはいかがでしょうか?
いったいどんな努力を続けたのか?
梅原氏は、小さい頃からゲームが好きでした。
父親から「本気でやりたいことがあるんだったら、いくらでもサポートしてやるから
何か見つけて徹底的にやれよ」と言われ、
「~だいたい好きなことって言うならゲームをやっちゃうけど、それでもいいの?」
というくらいです。
その言葉にうそ偽りはなく、ゲームをやり続けます。
他の人間が、部活や勉強に注いでいるのと同じくらいの、いいや、それ以上のやる気と情熱を持って
ゲームに向き合わないとあまりに格好悪いんじゃないか。
よし、これからは1分も無駄にせず、とことんゲームを追及してやるぞ。
相手が10時間やるなら僕は30時間やる。
相手が100時間やるなら300時間だってやり続けてやる。
当時はプロゲーマーという選択肢はなかった。(中略)野球とかサッカーでプロを目指している人と同じくらい、
彼らと比べても恥ずかしくないくらい努力しようと思っていた。
誰に見せても恥ずかしくない努力をしている。
なんという凄まじい気迫でしょう!
これができるかできないかで、人生が変わってしまいますね。
管理人の勉強の話ばかりで恐縮ですが、試験勉強もこの気持ちでやっていれば
受かっていたかもしれないのに。
勝負における心構えとは?
ゲームとはいえ、そこには勝敗があるわけで、プロゲーマーとなれば真剣勝負。
世界チャンピオンはその勝負に対してどのような心構えで挑んでいるのでしょうか。
勝てば嬉しい、負ければ悔しい。
というのは凡人の発想。
梅原氏はこう言います。
自分が勝てたのは、知識、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったから。(中略)
自分という存在が相手を圧倒したのではない。当たり前のことをやり続けた人間が今日に限って勝てただけ。
勝敗には必ず原因があり、結果は原因に対する反応でしかない。結果が出なかったときは(中略)一時の感情に流されるのではなく、事実と受け止めて分析することが大事。
つまり、一喜一憂するのではなく、次につなげるということ。
なぜ勝てたのか、なぜ負けたのかを徹底的に分析し、改善を重ねていくことが大事なのです。
こうした中で、新たな戦術やセオリーを発見します。
梅原氏は、そのような戦術やセオリーに対してもストイックさを発揮します。
かつて生み出した戦術に頼らない覚悟と新たな戦術を探し続ける忍耐があるからトップにいられるのだ。
トップでいつづけるには試行錯誤の果てにはそれを上回る難度の試行錯誤が待っていることを覚悟しなければならない。
セオリーは疑うためにある。
築き上げたものに固執する人は、結局、自分を成長させるということに対する優先順位が低いのだと思う。
管理人には思い当たるフシだらけです…。
いつまでも過去の栄光にすがり、新しいことに挑戦できないでいる。
それだと結局成長が無いんですね。
この「成長」というのは、梅原氏の考え方の根幹なのではないかと管理人は思うのです。
成長とは?
梅原氏は、自分の成長をとても大事にしています。
勝負についての心構えと内容が一部被りますが、引用してみます。
勝負に固執していない。
勝敗にこだわりはない。対戦から得られるもの、自分の成長が全て。
勝ちから得られる収穫があればいいし、負けから学ぶことがあればいい。
自分のことを負かしてくれるプレーヤーがいるなら、ありがたいとさえ感じる。
その相手が課題に気づかせてくれるわけで、課題を修正することで成長できるからだ。何の発見もない15時間よりも、小さくても発見のある3時間の方がはるかに有意義で、長く続けることができるはず。
自分の成長が全て、と断言しています。
ここで、喜劇王チャップリンのエピソードが引用されています。
「あなたの最高傑作は?」→「Next One.(次回作だよ)」
トップは成長を止めるな、ということですね。
結果に一喜一憂するのではなく、負けすらも成長の材料にする。
成長し続ける≒勝ち続けるためにはこのような心構えでなければならないのですね。
自分を痛めつけてはいけない
梅原氏は、毎日凄まじい努力をしています。
生涯の対戦数は20万対戦を優に超えている。
基礎練習では、30分の1秒以内に入力しなければ無効になってしまうコマンドを
99%ミスなしでできるレベルを維持する努力を続けてきた。
しかし、自分を痛めつけること=努力とは決して思ってはいけないとも言っています。
これまでの経験から言えるのは、自分を痛めつけることと努力することは全然違う、ということだ。
自分を痛めつけていると、努力しているような気になる。しかし、そんな努力からは痛みと傷以外の何も生まれてこない。
自分を痛めつけることをしていたときは、全く勝てなくなってしまったそうです。
しかし、少し休んで平常心を取り戻したら、かえって落ち着いて対戦することができて、また勝てるようになったとのこと。
自分のできる範囲で頑張りましょう!
まとめ
才能を超えるには、圧倒的な努力しかない。
結果に一喜一憂しない。負けても成長はできる。
久しぶりに感銘を受けた本でした。
ここに書ききれないほど、心に刺さった言葉がたくさんありましたので、
是非読んでみてください。
麻雀をやっていたときのエピソードや介護の仕事のエピソードなども興味深いですし、
世界大会の内容も書かれています。
難しい内容ではなく、サクサク読めるので、読書に慣れていない人にもおすすめです。
是非読んでみてください。