銀行や他の会社等から借りたお金を借入金といいます。
この借入金には、短期借入金と長期借入金の2種類があって、それぞれ返済期限が借入日から1年以内、1年を超えるというふうに区切られます。
さて、これ以外に、一年内返済の長期借入金という科目が表示されているのを見たことがないでしょうか?
貸借対照表の負債の部にあるのがこれです。
例えば、下の事例は三菱地所ですが、1年内返済予定の長期借入金という科目がありますよね。
引用元: 三菱地所有価証券報告書
さて今回は、借入金について説明していきます。
借入金とはどういうもの?
借入金というのは、文字通り借りているお金です。
銀行からの借入だけでなく、他の会社や個人から借りているお金も、簿記の上では借入金で処理をします。
借りているお金なので、もちろんいつかは返さなければなりません。
ただ返せばいいというわけではなく、利息が付くので利息も合わせて返済します。
借入金の種類は?
借入金には短期借入金、長期借入金の大きく二つがあります。
短期借入金は、借入日から返済完了日までが1年以内のもので、長期借入金は借入日から返済完了日までが1年を超えるものです。
短期借入金は、貸借対照表の流動負債、長期借入金は固定負債の欄にそれぞれ表示されます。
借入金の仕訳
借入金の仕訳はそこまで難しくありません。
例えば、100万円の短期借り入れをした場合をご紹介します。
期間はちょうど1年、利率は年5%としましょう。
借入時
普通預金 100万円 /短期借入金 100万円
返済時
短期借入金 100万円 /普通預金 105万円
支払利息 5万円
利息の計算がありますが、仕訳自体は単純です。
長期借入金の返済の仕訳も基本は同じです。
上の仕訳の短期借入金をそのまま長期借入金に置き換えればよいだけです。
借入金の支払利息の計算方法
借入金で特徴的なのは支払利息があるということです。
この支払利息の計算も慣れてしまえば簡単です。
基本的に借入金利息は、年利〇〇%という契約になっています。
そのため、1年の間に何回かに分けて返済をする場合、そのつど月割計算もしくは日割計算をしなければなりません。
具体的な計算方法をご説明します。
例えば、元金100万円、年利5%の長期借入金を年4回、3月末、6月末、9月末、12月末に元金を10万円ずつ返済するとしましょう。
1回目の返済は元金10万円、利息が12,329円となります。
利息の計算は、100万×5%×90日/365日=12,329です。
90日/365日は、1月から3月の日数で日割りしたものです。
次に2回目。
元金は10万円返済しているので、90万円。
支払利息の計算式は以下のようになります。
90万×5%×91日/365日=11,219円
このように、元金をもとに利率をかけて、日数に応じて計算をしていきます。
ちょっととっつきづらいかもしれませんが、慣れてしまえばどうってことないので、手を動かして計算してみるのがいいですよ。
決算の時の未払利息って?
決算の時に返済日が到来していない場合、未払利息を計上しておく必要があります。
この未払利息とは、実際に返済はしないけれど、日数が経過しているので、その経過分は費用計上しておくというものです。
例えば、3月決算で、前回の返済が2月末、次の返済が5月末だとすると、3月に返済はありませんよね?
しかし、3月決算なので、3月末で未払利息を計上しておかなければなりません。
具体的には、上の例だと3月1日から3月31日までの1か月(31日)分です。
仮に、2月返済後の元金が90万円、年利5%だとしたら未払利息は、3,821円です。
計算式は90万×5%×31日/365日=3,821円です。
仕訳は一般的には
支払利息 3,821円/未払利息 3,821円
となります。
これは、あくまで決算用の仕訳なので、翌期には逆仕訳で戻してしまいます。
会社によっては、次の支払にこの未払利息を充てるという場合もあるのでケースバイケースです。
1年内返済予定の長期借入金の考え方
一番最初の貸借対照表の例であげた1年内返済予定の長期借入金とはいったい何でしょうか?
これは、決算の時に出てくる勘定科目で、長期借入金のうち決算日の翌日から1年以内に返済予定日が到来する長期借入金がいくらあるか、ということを表示します。
例えば、先ほど例の年4回、3月末、6月末、9月末、12月末に元金を10万円ずつ返済する、という長期借入金であれば、3月決算だとすると1年内返済予定の長期借入金はいくらになるでしょうか。
決算日の翌日から1年なので、3月決算の場合は翌年度の4月1日から3月31日までです。
ということは、4回の返済があるので、1年内返済予定の長期借入金は40万円ということになります。
中間決算、四半期決算時点の1年内返済予定の長期借入金の考え方
ちょっと紛らわしいのが、中間決算や四半期決算の場合はどうなるのか?ということです。
起算日をどのようにするのか、一瞬迷ってしまいます。
答えは、中間決算や四半期決算の場合、その翌日から1年以内かどうかで判断します。
例えば中間決算が9月末だとしたら、10月1日から翌年度の9月30日までに返済日が到来するものが、中間決算の貸借対照表に表示される1年内返済予定の長期借入金となります。
まとめ
借入金は、会社によってはそこそこ発生頻度が高いので、考え方や仕訳、計算方法を覚えてしまいましょう。
支払利息の計算や1年内返済予定の長期借入金の表示など、借入金特有の考え方がありますが、これも慣れです。
読んでいるだけでは、「何のこっちゃ?」となってしまいますが、実際に手を動かして計算をすれば、すぐに慣れることができます。
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