主に個人事業主への支払で必ず出てくるのが源泉徴収です。
わかりづらいうえに、源泉徴収漏れがあったりすると、ペナルティが課されてしまいます。
ですから、支払いをするときには細心の注意を払わなければならないのです。
さて、報酬料金そのものは源泉徴収をするのは、比較的理解しやすいのですが、問題はそうでない費用も源泉徴収をするのかということです。
今回は、特によく出てくる交通費などの付随費用についてご説明します。
交通費は源泉徴収が必要か
例えば、個人事業主の方に講演を依頼する場合、講演料の他に会場までの交通費を支払うことがあります。
この交通費は源泉徴収の対象でしょうか。
答えは、源泉徴収の対象になります。
国税庁のタックスアンサーの該当箇所を引用しましょう。
(2) 謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。
引用元: 国税庁タックスアンサー
これは、車代として報酬料金に上乗せして支払った場合が該当します。
名目は車代ということですが、実質は報酬が増えているだけなので、その分多く報酬を払っただけに過ぎないのです。
したがって、今回の例の講演料は源泉徴収対象なので、交通費相当額も源泉徴収の対象になるわけです。
源泉徴収をしないで交通費の支払をしたい場合は?
とはいえ、これではあまりにも税務当局有利、納税者である我々が不利なのではないでしょうか!?
講師の方が立替えた交通費を、報酬と一緒に支払っただけで源泉徴収されるのはあんまりです。
でも、抜け道はあるのです。
実は同じく国税庁のタックスアンサーに源泉徴収をしなくてもよい条件が書かれています。
(2) 謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。
引用元: 国税庁タックスアンサー
後半の赤い太字の部分がそうですね。
個人の方にお支払いをするのではなく、旅行会社などと通して航空券や切符を手配するという方法です。
こうすれば個人の方への支払ではないので、源泉徴収をしなくてもよくなります。
とはいえ、無制限ではなく、通常必要な範囲とされているのであまりにも高額だったり、直接関係のない支出だったりすると認められないでしょう。
管理人の経験では、飛行機のビジネスクラスくらいならば特段問題はないと思われます。
立替金の精算と源泉徴収の関係は?
交通費と似ているのですが、立替金と源泉徴収はどのような関係でしょうか。
弁理士や行政書士の方などに多いと思われますが、収入印紙などを立て替えて下さって、あとから請求するというパターンがよくあります。
この場合は、管理人の経験によると、立替金部分は源泉徴収をしなくてもよいです。
請求書にもそのように書いてくださる先生もいらっしゃいます。
結局会社が役所などに申請するのに必要な印紙を代理で買ってくださっているだけなので、これはさすがに報酬料金には該当しないのです。
まとめ
交通費やその他付随費用の源泉徴収についてご説明しました。
基本的に、業務に付随する交通費を支払う場合は報酬料金に含めて考えるため、源泉徴収が必要になります。
ただし、国税庁のタックスアンサーにもある通り、旅行会社に直接支払って手配すれば源泉徴収は不要です。
立替金は会社が負担すべき費用であるため、源泉徴収は不要です。