固定資産の取得価額資本的支出については以前の記事で書きました。

有形固定資産は形があって、実際目に見えるものなので比較的イメージはしやすいと思います。

しかし、無形固定資産、特にソフトウェアはデータですので目で見て確認ということができません。

間違えると、税務調査で追徴課税の憂き目を見る可能性が高いです。

税務署も固定資産はめちゃくちゃ狙ってきます。

不安であれば、税理士に相談するのが確実です。
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今回は、ちょっとわかりにくいソフトウェアの処理についてお話します。

ソフトウェアの取得価額の考え方、資本的支出の取り扱いについてご理解頂ければ幸いです!

ソフトウェアと迷うもので、クラウドシステムがあります。
クラウドシステムの会計処理については、こちらの記事が参考になります。

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ソフトウェアとはそもそも何?

ソフトウェアはどのようなものを指すのでしょうか?

公認会計士協会が公表している、「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
によりますと、次のようなものを指します。

ソフトウェアの概念・範囲
6.本報告におけるソフトウェアとは、コンピュータ・ソフトウェアをいい、その範囲は次
のとおりとする。
① コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム
② システム仕様書、フローチャート等の関連文書

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-11-12-2-20110704.pdf

一般的にソフト、ソフトと言っている概念とほぼ変わらないようですね。

会計システムで言えば、勘定奉行や弥生会計などといったパッケージソフトやSAPなどの大規模なシステムがソフトウェアにあたります。

要は、パソコンにインストールして使うものやネットワークで使用するものはソフトウェアとしてしまって
実務上、差し支えないということです。

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ソフトウェアを資産計上する範囲

それでは、資産計上するべきソフトウェアの範囲はどうなっているでしょうか。

基本的にソフトウェアに計上するべき範囲は、パソコン上で動くソフトは全て、と言ってよいです。
その中で金額が20万円以上であったら固定資産に計上するという流れです。

なお、2019年2月現在だと「ソフトウェア 資産計上 範囲」で検索すると、以下のような説明が出てきますが、これは製作して販売する側の売上の話が混じっているので注意してください。

とりあえず、参考までに。
ソフトウェアは大きく分けて下の2つに分類できます。

  • 販売目的のソフトウェア
  • 自社利用のソフトウェア

販売目的のソフトウェアは販売側の話。
自社利用のソフトウェアが買う側の話、つまり、固定資産計上するかどうかを判断する側の話ということですね。

それぞれの中身をもう少し詳しく見てみましょう。

販売目的のソフトウェア

販売目的のソフトウェアは、文字通りお客さんに販売するためのソフトウェアです。
この販売目的のソフトウェアも2種類あって、

  • 市場販売目的のソフトウェア
  • 受注制作のソフトウェア

に分けることができます。

これまた文字通りですが、市場販売目的のソフトウェアは、量販店などで売っているパッケージソフトのイメージです。
対して受注制作のソフトウェアは、量販店で売っているようなものではなく、比較的大規模なソフトをイメージしてもらえればよいでしょう。

自社利用のソフトウェア

システム会社などは、自分たちでシステムを作って、それを使うということもあります。

自社利用のソフトウェアは、このあと説明をいたしますが、人件費や経費など、制作にかかった費用を合計して資産計上をします。

ソフトウェアの取得価額

ソフトウェアの取得価額は、有形固定資産と同じく

購入代価+付随費用

となります。

また、自社で製作した場合の取得価額は

材料費+労務費+経費+付随費用

となります。

付随費用というのは、そのソフトを使用するために必要な設定をするための費用
自社で使用するためのカスタマイズ費用等のことです。

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ライセンス料は資産計上は必要か?

ソフトによってはライセンス契約が別途必要になることがあります。

ライセンス料は、パソコン1台あたりの金額で計算し、1台あたり10万円未満であれば
費用として計上することができます。

また、ライセンス契約期間が1年であれば、使用期間が1年ということで費用にすることができます。

もしも、請求明細等で本体とライセンス料が合算されていたら、分けて表示してもらうことでライセンス料部分を経費にすることができる可能性があります。

それでもだめなら、正直なところソフトウェアとして計上してしまうのが無難と思われます。

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ソフトウェアの減価償却

ソフトウェアも減価償却の対象です。
耐用年数は、自社利用の場合は5年間で定額法による償却をします。

有形固定資産でもそうなのですが、年度の途中で取得した場合は月割での償却となります。

例えば、3月決算の会社で、5月にソフトウェアを100万円で取得して使い始めたとします。
5月から3月までの11ヶ月間使用することになりますね。

この場合の初年度の減価償却費は
100万×11ヶ月/60ヶ月(5年)=18万円
となります。

販売用のソフトウェアのマスターデータは3年償却になりますので、ご注意下さい!

また、取得価額が10万円以上20万円未満である場合は、一括償却資産として取り扱います。

資本的支出はどうするか

ソフトウェアの資本的支出は本当にわかりづらいです。
管理人も何度判断に迷ったことか…。

抜本的に改良して機能を大幅に強化した、というのであればわかりやすいのですが、バージョンアップでほんの少し操作性を良くした、とかメニューを増やした、という微妙なマイナーチェンジをした場合に迷います。

基本的な考え方としては、ソフトの機能を向上させるものは全て資本的支出となります。

管理人が以前国税庁に問い合わせをしたとき、国税庁の方が「表示を変更するだけなら、ソフトウェアの機能を向上させるものではないから
費用処理して差し支えありませんよ。」と回答して下さいました。

ちなみに国税庁の基本通達は下記のとおりです。

(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)

7-8-6の2 法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。(平12年課法2-19「十」により追加)

(注) 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm

ソフトウェアの資本的支出も、有形固定資産と同様、
金額が小額であったり、短期間で周期的に行われるようなものであれば費用としてしまってよいです。

こちらも、国税局電話相談センターに問い合わせをしましたところ、以下のようなご回答でした。

ソフトウェアに関する資本的支出であっても、20万円未満は修繕費として差し支えない、という規定を適用して問題ない、とのことです。

ですから、機能を追加して15万円かかりました、というような場合はその15万円は修繕費や外注費などの費用としてしまっていいんですね。

一括償却資産のように、3年償却する必要もありません。

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まとめ

ソフトウェアは、パソコンにインストールして使用するものやイントラネットなどで使用するもの全般をいう。

取得価額は有形固定資産と同様、購入代価+付随費用。
ライセンス料など独特のものがあるが、これは金額や期間で資産か費用か判断する。

機能の向上がある場合は資本的支出となる。
既存のソフトウェアに20万円未満の改修をした場合、資本的支出の規定を使って費用にすることができる。
 

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mail6_2
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