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消耗品、備品、固定資産とは?それぞれの違いと判断基準はこれだけ覚えよう

会社で何か物を買ったときに消耗品とするか備品とするか、はたまた固定資産にするかなかなか紛らわしい論点です。

yahoo知恵袋などを見ていると、消耗品にすべきか備品にすべきかという質問をされている方を見かけますし、実際管理人が仕事をしていても、よく聞かれます。

今回は、この消耗品と備品、固定資産の区別を
はっきりさせてしまいましょう!

固定資産の取得価額の判定はこちらの記事が参考になります。

また、最近はクラウドシステムが爆発的に普及してきています。
ですので、クラウドシステムを資産登録するかどうかも重要な論点です。

消耗品、備品、固定資産の定義

詳しくは後で説明いたしますが、まずは、それぞれの意味をはっきりさせておきましょう。

消耗品とは、金額が10万円未満、使用可能年数1年未満で、主にペンやコピー用紙等の事務用品です。

備品とは、机やキャビネット等、文字通り事務所に備え付けられているものです。
消耗品とは違い、個別に管理することもあります。
管理人が昔いた会社では、備品管理台帳を作っていました。

固定資産とは、備品などのうち、取得価額が20万円以上で1年超使うものです。
ですから、備品は金額によって処理が変わるんですね。
ややこしい…。

消耗品とか備品とかなぜ区別するの?

区別する理由は、法人税法の規定のためです。
法人税の計算は会計とは違って、会計で費用となっても、税務で損金となるとは限らないのです。

消耗品や10万円未満の備品は、会計でも税務でも、その年度のうちに費用、損金にできますが、
10万円以上20万円未満の備品(以下、一括償却資産といいます)は、
会計では1年で費用、税法では3年かけて損金にしていきます。
この区別を間違えてしまうと法人税の金額が変わってしまいます。

法人税の金額を間違えると、あとで税務調査で
直されたときに、延滞税や過少申告加算税をたっぷり持っていかれますので
ご注意ください!

判断基準は?

区別するといっても、判断基準がないと区別することができないですよね。

メモ帳は消耗品ぽい?、プロジェクターは一括償却資産ぽい?車は固定資産ぽい?と何となく区別すると間違えます。

判断基準はずばり2つ。

1.使用可能年数
2.金額
です。

国税庁が例示を出しているので引用しますね。

No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示

[平成27年4月1日現在法令等]

法人が取得した減価償却資産のうち次のいずれかに該当するものについては、少額の減価償却資産となり、その法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その損金経理をした金額は、損金の額に算入されます。
(1)  使用可能期間が1年未満のもの
この場合の「使用可能期間が1年未満のもの」とは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。
(2)  取得価額が10万円未満のもの
この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金に算入することはできませんのでご注意ください。
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、各事業年度ごとに、その全部又は一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

(注) 中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万円未満のもの)の取得価額の損金算入の特例制度については、コード5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」をご覧ください。

(法令133、133の2、法基通7-1-11~12)

国税庁タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5403.htm

使用可能年数基準

その会社の通常の使い方で、1年未満しか使えないようなものは消耗品として計上して差し支えありません。
しかし、立証するのは実際はかなり難しいですし、期末近くで取得した場合はどうするのか、という議論にもなります。

あくまで管理人の主観ですが、一括償却資産ならば、1年しか使えないものは消耗品にしてしまう、固定資産の金額でも、1年契約のライセンス頻繁に更新するホームページも費用にしてしまって、差し支えないと思われます。
(管理人ならこうする、という例示であって、
最終的なご判断は、各自でお願いいたします。)

金額基準

金額で判断する場合、次の3つに区分されます。
それぞれの区分で、どの科目で処理をするかが決まります。

1.10万円未満:消耗品

2.10万円以上、20万円未満:一括償却資産

3.20万円以上:固定資産

中小企業者(資本金が1億円以下の会社)は
30万円未満のものであれば、消耗品と同じように
その年度で損金にできるという特例があります。

ただし、限度があって、累計で300万円までです。
例えば、29万円の備品を買って、この特例を適用すると10個までOKというイメージですね。

管理人の経験ですが、実務上は、1年契約のような明らかなものでない限り、使用可能期間は使用せず金額での判断としています。

まとめ

消耗品、一括償却資産、固定資産の判断は
1.使用可能期間
2.金額
で行う。

1年未満しか使えないものは一括で費用にできるが、
証明をしなければならない。

金額が比較的小さかったり、1年契約など、明らかにわかるもの以外は適用しないほうが無難。