固定資産を計上するときに、資産になるか費用になるか迷うことはよくあることです。
ちなみにその判断は、別記事でご説明しています。
今回は、固定資産を分割して計上するのはできるのか、分割できるとしたらどういう方法があるのか?ということ、そして節税メリットもご説明いたします。
固定資産の分割計上って?
固定資産の分割計上とは、文字通り固定資産を分割して計上することです。
どういうことか例をあげてみましょう。
固定資産を買うときは、「一式」のような形で金額がまとまっていることがあります。
このまま資産計上してしまってもいいのですが、それはちょっともったいない。
たとえば、その一式の中に費用にできるものが混じっているかもしれませんし、固定資産であっても耐用年数が短いものがあるかもしれません。
見積もりなどの段階で、「中身の明細を細かく分けて」とお願いすれば、細かく分けてくれることがありますので、分けてもらってそれぞれ判断するといいですね。
極端な例をあげますと、ビルを一棟買ったとします。
この場合、ビル一式となると、すべて「建物」で計上しなくてはなりません。
このように計上してしまうと、たとえこの中に費用にできるものが入っていようが、耐用年数の短い固定資産が入っていようが、全て50年という期間で減価償却しなければなりません。
これだとなかなか費用にならないので、お金だけ出て行って、税金が減りません。
そこで考えるのが分割計上です。
固定資産の分割計上方法
では、固定資産の分割計上はどのようにやるのでしょうか?
話は単純で、見積書や請求書に明細を細かく記載してもらって、その明細ごとに判断するのです。
例えば、ビルのような不動産であれば、司法書士に払う登記費用や登録免許税は費用として計上することができます。
また、ビルの中のパーテーションやエレベーターなどは建物附属設備として計上できます。
ここまで極端な例でなくても、例えば機械を新しく入れ替えるときの既存機械の撤去費用や、車を買うときの各種税金なんかもそうですね。
費用にできるものまで資産にしてしまってはもったいないです。
ぜひ、積極的に費用化して、税金を先に減らしてしまいましょう。
ソフトウェアの分割はできるのか?
ソフトウェアではどうでしょうか?
最近のソフトは、パソコンだけでなくスマホ対応のプログラムを同時に開発することがあります。
例えば、開発費60万円(パソコン版が50万、スマホ版10万)となった場合、固定資産と費用で分割して考えることができるのでしょうか?
実は会計基準には決まりがないので、何ともいえないのです。
管理人も会計士の方々に聞いてみたのですが、やはり正解はないとのことでした。
こういった場合は、一体のものとみなして60万円の固定資産としてみるのが妥当でしょう。
なお、仮に、同じ取引でパソコン版が先行してリリースされ、直後にスマホ版がリリースされるといった場合は、それぞれのリリース時期(稼動時期)に合わせて固定資産計上をするのが無難です。
分割計上のメリットは節税にある
分割計上なんかめんどくさいからしなくても良いんじゃないの?という意見もあるでしょう。
もちろん、それはそれで問題はないです。
ですが、分割計上を試すのは、早く費用計上をして税金を早いうちから減らしておくというメリットがあるためです。
国税局や税務署がしきりに固定資産計上をさせたがるのはそのためです。
費用にできればベストで、耐用年数が短くなれば年間の費用も大きくなるので、耐用年数もできるだけ短いものでいけないか考えてみましょう。
耐用年数については、例えば100万円の固定資産を10年で減価償却するのと5年で減価償却するのはどちらが年間の費用が大きいでしょうか?
答えは5年ですね。
100万円÷5年で年間20万円の費用、10年だと10万円の費用です。
まとめ
固定資産の分割計上については判断が難しいところもあります。
しかし、税金を早めに減らすことができるので、固定資産を買って出て行ったお金の負担を少しでも減らすためにも積極的に検討していきましょう。
そのためには、見積書や請求書にしっかりと明細を書いてもらうことが大事ですね。