「繰延税金資産の取崩?何だそれは?」
「あんた承認したべや!」
↑…実は上司がよくわかってないパターン。

前回の記事で、税効果の計算の基礎を
説明しました。

基礎といっても法人税の所得計算を理解していないと
一時差異の解消が詳しくわからないので、
所得計算の方法も別途説明しますね。お楽しみに!

さて、前回繰延税金資産という言葉が出てきた…
というところで終わりました。

今回は仕訳の部分、この繰延税金資産を中心に
説明しますね。

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繰延税金資産とは税金の前払いだ!

繰延税金資産とは、税金の前払いを表す科目です。

もちろんこれだけでは、何のことかわかりませんね。
管理人に言わせれば、こんな説明しかできないセンセーとは契約しないですし、
研修でこんな説明で済ませたら即帰ります。

無意味にハードルを上げてしまった…。
例えば、10,000円の将来減算一時差異があったとします。

将来減算一時差異、とは何だったでしょうか?

課税所得を計算する時に、
利益に加算されるけどいずれは減算されるもの、でしたね。

つまり、最初は利益に加算されるので、
税金は多く払うことになります。
しかし、いずれ減算されるので、
その時は税金を少なく払うことになるわけです。

繰延税金資産は、将来減算一時差異×実効税率で計算するので、
10,000円×33.10%=3,310円
となります。
この3,310円が税金の前払い金額です。

繰延税金資産計算の具体例

まず、1年目。
利益100,000円、将来減算一時差異10,000円だったとすると
税金額は
110,000円×33.10%=36,410円
です。

利益と税金額が対応しているのであれば、
100,000円×33.10%=33,100円のはずですよね?
でも、3,310円多く払っています
10,000円の加算があるから、です。

2年目。
利益は同じく100,000円、1年目の将来減算一時差異解消▲10,000円となる場合、
税金額は90,000円×33.10%=29,790円
です。
利益が同じなので、利益と税金額が対応していれば、
税金額は同じく33,100円でいいはずです。
しかし、今度は3,310円少ないですね。
一時差異が解消されて、その分課税所得が減ったためです。

将来減算一時差異の分だけ、初めに税金を多く払い、
解消されたときには税金が少なくて済む。
これが税金の前払いと言われる所以です。

そして、その前払いとされる金額は、
将来減算一時差異×実行税率
というわけです。

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繰延税金資産の仕訳はどうする?

繰延税金資産の計算をしたら仕訳を切ります。
相手勘定は、法人税等調整額という科目です。

繰延税金資産は、貸借対照表の流動資産、固定資産(投資その他の資産)に表示されます。

法人税等調整額は損益計算書の費用科目で、法人税等の区分(税引前当期純利益の下)に表示されます。

繰延税金資産はそれぞれ、
流動資産→短期繰延税金資産
固定資産→長期繰延税金資産
という名前に分かれます。

流動だから短期、固定資産だから長期というわけなんですね。

仕訳は以下のとおりです。

期首の残高を戻入して、今期の金額を計上します。

借方 貸方
法人税等調整額  35,000円 短期繰延税金資産  10,000円
長期繰延税金資産  25,000円
短期繰延税金資産  10,000円 法人税等調整額  30,000円
長期繰延税金資産  20,000円

上の2行が期首残高の戻入で、下の2行が今期計上額です。

この例では、繰延税金資産の金額が前期より減っているのにお気づきでしょうか?

このような状態が、繰延税金資産の取崩といいます。

なお、繰延税金負債という科目もあります。
これは繰延税金資産とは逆で、
税金の後払いという性質があります。
いずれは税金を多く払う、という意味です。

一般的に、繰延税金資産と繰延税金負債は
最後に相殺して貸借対照表に表示します。

繰延税金資産30,000円
繰延税金負債10,000円だった場合、
貸借対照表には、
繰延税金資産20,000円と表示します。

超難解な税効果会計、基本的な内容に絞って3回に分けて説明をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?

イメージだけでもつかんでいただけたら幸いです。

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まとめ

繰延税金資産は税金の前払い。繰延税金負債は税金の後払い。

仕訳は、繰延税金資産(繰延税金負債)、法人税等調整額という科目を使う。

繰延税金資産(繰延税金負債)は短期と長期に分かれる。

 

どこよりもわかりやすい説明を心がけています。是非他のブログと比較してください。

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