消費税には課税、免税、非課税、不課税(課税対象外)という区分があります。
これらの区分は、課税はともかく、免税、非課税、不課税はどれも消費税がかからないということだからよく区別がつかないし、使い分けの方法もわからないかもしれません。

実際、ネット上の質問サイトや記事などでも、区別がついていないなぁ、と思うことがあります。
例えば、「この取引は、消費税の対象ではないので非課税です」などという記述があったりします。
税法的にはまったくもって意味不明です。
この文章を翻訳すると、「不課税だから非課税です」と言っています。

と、このように区別がついていないことが見受けられるので、ちょっと整理しておきましょう。
この記事を読めば、上記のような恥ずかしい言い回しをしなくて済むようになります。

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消費税の種類

消費税の種類を簡単にまとめます。
これらについて説明していきます。

内容
課税取引 日本国内のほとんどの取引
免税取引 輸出売上
非課税取引 土地の売買など限定列挙
不課税取引 そもそも消費税の対象にならない取引

消費税課税取引とは

消費税課税取引は、最も数の多い取引でしょう。

消費税の基本は、「国内において、事業者事業として行う取引」に課税されます。
ですから、基本的に普通の取引は日本国内で行われるので、個人事業主や会社が行う取引はほぼすべて該当しますよね。

税率は、ご存知の通り10%。

ただし、食料品の持ち帰りや、新聞購読料は、軽減税率が適用されて8%の課税です。

免税取引とは

免税取引は、主に輸出売り上げに対して適用されます。

輸出されたものは、国内で消費されないから、消費税は0%にするという意味です。

ここで何気なく0%と書いていますが、免税の考え方として「消費税0%を課税する」と覚えるとよいです。
消費税は確かにかかってるんだけど税率が0%なんです。
ちょっと回りくどいですが、この方が逆に印象に残るのではないかなと思い、管理人はこう覚えています。

よく、免税仕入は無いのかと聞かれますが、免税仕入は基本的に無いとみていいです。
仕入の場合は海外だと不課税ですし、国内取引とみなされれば課税になるだけです。

ちなみに、免税に対応する仕入は仕入税額控除ができる、と何気なく書かれている説明を見かけます。
仕入税額控除というのは、預かり消費税から差し引くことができる仮払消費税で、その分だけ納税額が減ることになります。

最初の「税率0%が課税されている」と考えれば納得がいく話で、売上は免税ですが、これは税率が0%なだけで、れっきとした課税取引なんです。
だから、普通の10%の課税取引と同じように、仕入も普通に税額控除の対象になります。
当たり前のように「仕入税額控除の対象だ」と書かれることが多いですが、背景は上記のようなことなんですね。

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非課税取引とは

非課税取引は、本来は課税取引の要件を満たすんだけど、特別に課税しないであげる、というものです。
どちらかと言えば、不課税に近い内容です。

非課税取引は限定列挙で、
・土地の売買
・有価証券の売買
・小切手や手形などの売買
・切手、印紙の売買
・利息
・保険料
・火葬埋葬料
・学校図書の売買
・住宅の貸付
などです。
より詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。

2 主な非課税取引
(1) 土地の譲渡及び貸付け
 土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
 ただし、1か月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。

(2) 有価証券等の譲渡
 国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
 ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

(3) 支払手段(注)の譲渡
 銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
 ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。
(注) 支払手段に類するものとして、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する暗号資産(令和2年4月までは「仮想通貨」という名称が用いられていました。)の譲渡も非課税となります。

(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
 預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
 国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料
 なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。

(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
 健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など
 ただし、美容整形や差額ベッドの料金及び市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。

(10) 介護保険サービスの提供等
 介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど
 ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。

(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供等
 社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供など

(12) 助産
 医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
 義肢、視覚障害者安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車椅子、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造または機能を有する自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負及びこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの

(15) 学校教育
 学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など

(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け
 契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限られます。
 ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。

(消法4、6、消法別表第一、消令8~16の2、消基通6-1-1~6-13-11)

非課税売上に対応する仕入は、仕入税額控除ができないです。
非課税売上は、免税と違って、0%課税されるというわけではなく、課税されない、という意味があるためです。

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不課税取引(課税対象外)とは

不課税取引は、他の3つとは違って、そもそも消費税の守備範囲の外の取引なので、対象にならないのです。

消費税は、国内において、事業者が事業としておこなう取引に対して課税されます。

逆に、国外だったり、事業者じゃなかったり、事業じゃなかったりする取引は、消費税の対象ではないんです。

例えば、海外で買い物をした時には当然日本の消費税はかかるわけがないし、個人がたまたま中古品を売ったとかも事業ではないので消費税対象外です。

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まとめ

消費税の4パターンをご説明しました。
一度に覚えるのは難しいとは思いますが、この記事に書いてあることを思い返しながら日々経理の仕事を続けるうちに覚えていけるでしょう。